COLUMN

オフィス・店舗のLED化で電気代は下がる? 削減効果と導入のポイント

LED照明に更新されたオフィス空間

「電気代が高い。LED化すれば下がりますか」というご相談をよくいただきます。答えは「場合による」です。歯切れが悪くて申し訳ないのですが、事業所によって電気の使われ方がまったく違うためです。

資源エネルギー庁の推計では、平均的なオフィスビルの夏期ピーク時(14時前後)の電力消費は空調が48%、照明が24%、OA機器が16%。照明は2番目に大きい項目なので、手を入れる価値は十分あります。ただ、冷凍設備が主役の店舗や、生産設備が大半を占める工場では話が変わります。

この記事では、LED化でどれだけ下がるかを自分で計算する方法と、照明以外に効く手を整理します。

この記事の要点
  • 平均的なオフィスビルでは、夏期ピーク時の電力消費のうち照明が24%(資源エネルギー庁推計)
  • LED化の削減額は(削減W数 × 点灯時間 × 単価)で自分で計算できる
  • 2026年度の再エネ賦課金は4.18円/kWh。使った分だけかかるので、使用量を減らす効果は年々大きくなる
  • 高圧受電なら、基本料金はデマンド(最大需要電力)で決まる。過去11か月の最大値が効くので、一度跳ねると1年間高いまま
  • 力率は85%が基準。1%上げるごとに基本料金が1%下がる(東北電力の場合)

まず、電気代のどこが高いのかを切り分ける

電気代が上がったとき、原因は2つに分かれます。

  • 単価が上がった:燃料費調整額、再エネ賦課金、料金プランの改定
  • 使用量が増えた:設備が増えた、稼働時間が延びた、機器の効率が落ちた

この切り分けをせずにLED化に踏み切ると、期待した効果が出ないことがあります。請求書の使用量(kWh)を前年同月と比べてください。使用量が横ばいで金額だけ上がっているなら、単価要因です。

電気料金の内訳を知る

電気料金の構成
項目何で決まるか減らし方
基本料金低圧は契約容量、高圧は契約電力(デマンド)ピークを抑える、力率を改善する
電力量料金使用量(kWh)× 単価使用量を減らす
燃料費調整額燃料価格の変動に応じて増減(使用量に比例)使用量を減らす
再エネ賦課金使用量 × 4.18円/kWh(2026年度)使用量を減らす

2026年度の再エネ賦課金単価は、経済産業省が2026年3月19日に公表した4.18円/kWh。前年度の3.98円から0.2円上がりました。2026年5月検針分から2027年4月検針分まで適用されます。

この単価は使用量に比例するので、月10,000kWh使う事業所なら賦課金だけで月41,800円。使用量を1割減らせば、賦課金も1割減ります。単価が上がるほど、使用量を減らす効果は大きくなるという関係です。

高圧受電なら基本料金の決まり方も知っておく

キュービクルを設置している高圧受電の事業所では、契約電力が実量制(デマンド制)で決まります。東北電力の場合、当月の最大需要電力と過去11か月の最大需要電力を比べて、大きいほうが契約電力になります。

つまり、真夏の一日だけ空調と生産設備が重なってデマンドが跳ねると、そのあと1年間、高い基本料金を払い続けることになります。使用量を減らす取り組みとは別に、ピークをずらす工夫が効いてきます。

力率も基本料金に効きます

力率は85%が基準で、これを1%上回るごとに基本料金が1%割引、下回るごとに1%割増になります(東北電力の場合)。進相コンデンサの容量が足りていない、あるいは劣化して機能していないと、知らないうちに割増を払っていることがあります。

ちなみに、LED照明は蛍光灯より力率が低い製品もあります。大量に導入すると全体の力率が下がることがあるので、キュービクルのある事業所では確認しておきたいポイントです。

照明が占める割合はどのくらいか

資源エネルギー庁の推計による、平均的なオフィスビルの用途別電力消費比率(夏期ピーク時、14時前後)です。

平均的なオフィスビルの用途別電力消費比率(夏期ピーク時)
用途比率
空調48%
照明24%
OA機器16%
エレベーター5%
その他7%
この数字は夏のピーク時のものです 空調の48%は真夏の14時前後という条件での比率で、年間平均ではありません。空調を使わない春秋は照明の比率が相対的に高くなります。また、これはオフィスビルの数字です。24時間動く冷凍設備がある食品スーパーや、生産設備が主役の工場では構成がまったく違います。自分の事業所の実態は、実際の設備から積み上げて確認してください。
店舗のスポットライト
見せる役割の照明は、明るさだけでなく光の当たり方で選びます。

LED化の削減効果を自分で計算する

計算式はとても単純です。

年間削減額 = 削減できるW数 × 年間点灯時間 ÷ 1,000 × 電力量単価

計算例|事務所の40W形2灯用器具を50台

  • 既存:40W形蛍光灯2灯用器具、器具1台あたりの消費電力を約85W(安定器の損失を含む)とする
  • LED後:LEDベースライトで1台あたり約40W
  • 削減:1台あたり45W × 50台 = 2,250W = 2.25kW
  • 点灯時間:1日10時間 × 年間250日 = 2,500時間
  • 削減電力量:2.25kW × 2,500時間 = 5,625kWh/年
  • 電力量単価を25円/kWhとすると:5,625 × 25 = 年間約14万円

器具交換の費用を1台15,000円とすると50台で75万円。単純計算で5〜6年で回収という水準になります。補助金が使えれば、この期間は縮みます。

点灯時間で結果はまるで変わります

同じ50台でも、点灯時間で削減額が変わる
用途年間点灯時間の目安年間削減額(25円/kWh換算)
24時間稼働の施設約8,760時間約49万円
店舗(1日14時間・年350日)約4,900時間約28万円
事務所(1日10時間・年250日)約2,500時間約14万円
倉庫(1日2時間・年250日)約500時間約3万円

倉庫や会議室のように点灯時間の短い場所は、LED化の回収に何十年もかかります。点灯時間の長い場所から順に手をつけるのが鉄則です。

削減効果が思ったより出ないケース

1. 工事不要タイプで安定器を残した

既存の安定器をそのまま使うLEDランプは、安定器の損失がそのまま残ります。ランプ単体の消費電力は下がっても、器具全体では期待したほど減りません。詳しくは蛍光灯からLEDへの交換方法で解説しています。

2. 照明の比率がもともと低い

冷凍・冷蔵設備、大型のコンプレッサ、生産設備。これらが電力の大半を占めている事業所では、照明を全部替えても全体は数%しか動きません。

3. 明るくなりすぎて台数を増やした

LED化を機に「せっかくだから明るく」と器具を増やすと、消費電力の削減幅は縮みます。悪いことではありませんが、削減額の試算とは別の話になります。

4. 基本料金が下がらない

高圧受電では、電力量料金は減ってもデマンドが下がらなければ基本料金は据え置きです。照明の削減分だけでは、ピーク時のデマンドがそれほど動かないこともあります。

照明以外に効く手

デマンドのピークを抑える

デマンド監視装置を入れて、設定値に近づいたら警報を出す。空調の設定を一時的に緩める、生産設備の起動を分散する。設備投資としては小さいのに、基本料金への効果が長く続きます。

力率を改善する

進相コンデンサの容量が適切か、劣化していないかを確認します。キュービクルの点検で見つかることが多い項目です。

変圧器の更新

トランスは、負荷がなくても常に損失を出しています(無負荷損)。夜間も休日も、電気が来ている限り発生します。古いトランスを高効率のものに替えると、この分がまるごと減ります。請求書を眺めていても気づけない項目です。

変圧器は省エネ補助金の設備単位型の対象設備にも入っています。キュービクルの更新を検討しているなら、補助金の公募に合わせる価値があります。

空調

比率でいえばここが最大です。ただ、更新費用も大きくなります。省エネ診断を受けて、優先順位をつけてから動くのが確実です。

導入方法と補助金

購入・リース・ESCO

LED化の導入方法
方法特徴
購入初期費用がかかるが、削減効果はすべて自社に残る。補助金と相性がいい
リース初期費用を抑えられる。総支払額は購入より大きくなる
ESCO・サービス契約削減効果の一部を事業者に支払う形。初期費用ゼロだが契約内容の確認が重要

補助金

省エネ・非化石転換補助金の設備単位型に制御機能付きLED照明器具が含まれています。補助率1/3以内、上限1億円、下限30万円。人感センサーや調光といった制御機能を備えた器具であることと、補助対象製品として登録された型番であることが条件です。

2026年の公募は1次が4月27日、2次が7月9日で終了しています。次の公募は予算の成立次第で、始まってからの期間はおそらく1か月ほど。3者見積と省エネ効果の計算が必要なので、公募が閉じているいまのうちに準備しておくのが現実的です。

あわせて、中小企業なら省エネ診断が自己負担6,006円/設備から受けられます。照明設備も受変電設備も診断対象です。詳しくは事業者向け省エネ補助金の記事で整理しています。

VOICE FROM THE FIELD

事業所の電気代のご相談では、まず電力会社の請求書と、キュービクルの中を見せていただきます。契約電力、力率、デマンドの推移。この3つで、手を打つべき場所がだいたい見えてきます。

「LED化すれば下がりますよね」と言われて、実は空調と冷凍設備で8割使っていた、というケースもあります。逆に、24時間点いている倉庫の照明を替えただけで大きく下がることもあります。設備を見ないと判断できません。

照明を替えるときは、明るさだけでなく見え方も一緒に考えています。店舗なら特に、見せる役割を持つ照明はカッコよくおしゃれなものを選びたい。省エネと空間づくりは両立できます。

電気代の相談は、請求書と設備を見ることから始まります

LED化は、効果が読みやすい省エネ対策です。何ワット減って、何時間点いていて、単価がいくらか。この3つが分かれば削減額を計算できます。決める前に見通しが立てられるのは、大きな利点です。

一方で、事業所全体の電気代を下げたいというお話であれば、照明だけを見ていても答えは出てきません。デマンド、力率、変圧器の損失。請求書には現れにくい部分に原因があることも多いのです。

Frawは仙台を拠点に、宮城県全域と東北近郊で法人・店舗の電気設備工事に対応しています。第一種電気工事士として低圧から高圧まで施工でき、照明のLED化からキュービクルの更新・保守まで一貫して承ります。法人・店舗の電気設備工事について詳しく見る

よくある質問

LED化すると電気代はどのくらい下がりますか?

削減できるW数×年間点灯時間÷1,000×電力量単価で計算できます。事務所で40W形2灯用器具50台を1台85Wから40Wへ替え、1日10時間・年250日点灯、単価25円/kWhとすると、年間約14万円の削減になります。同じ台数でも24時間稼働の施設なら約49万円、倉庫のように点灯時間が短ければ約3万円と、点灯時間で大きく変わります。

オフィスの電気代のうち照明は何割ですか?

資源エネルギー庁の推計では、平均的なオフィスビルの夏期ピーク時(14時前後)の電力消費比率は空調48%、照明24%、OA機器16%、エレベーター5%、その他7%です。ただしこれは夏のピーク時の数字で年間平均ではありません。冷凍設備のある店舗や生産設備が主役の工場では構成がまったく違います。

LEDにしたのに電気代があまり下がりません。

既存の安定器を残す工事不要タイプを使っている場合、安定器の損失がそのまま残るため削減幅が小さくなります。また、照明がもともと電力全体の数%しか占めていない事業所では、全部替えても全体はあまり動きません。LED化を機に器具を増やした場合も、削減額の試算とは差が出ます。

基本料金は下がりますか?

高圧受電の場合、基本料金は契約電力(デマンド)で決まります。東北電力では当月の最大需要電力と過去11か月の最大需要電力を比べ、大きいほうが契約電力になります。照明の削減だけではピーク時のデマンドがあまり動かないこともあるため、基本料金を下げるにはピークを抑える取り組みが別に必要です。

再エネ賦課金はいくらですか?

2026年度は1kWhあたり4.18円です。経済産業省が2026年3月19日に公表しました。前年度の3.98円から0.2円上がっています。2026年5月検針分から2027年4月検針分まで適用されます。使用量に比例するため、使用量を減らせば賦課金も同じ割合で減ります。

LED化に補助金は使えますか?

省エネ・非化石転換補助金の設備単位型に「制御機能付きLED照明器具」が含まれています。補助率1/3以内、上限1億円、下限30万円。ただし単純なLED化では対象にならず、人感センサーや調光といった制御機能を備え、補助対象製品として登録された型番であることが条件です。2026年の公募は1次・2次とも終了しています。

まとめ

LED化で電気代が下がるかどうかは、照明が電力全体のどれくらいを占めているかと、点灯時間で決まります。平均的なオフィスビルなら照明は24%。事務所の40W形2灯用器具50台を替えれば、年間14万円ほどの削減という水準です。

ただし、これは点灯時間が1日10時間・年250日という前提の話。24時間稼働なら削減額は3倍以上になりますし、倉庫のように点灯時間が短ければ回収に何十年もかかります。点灯時間の長い場所からという原則は変わりません。

そして、事業所全体の電気代を下げたいなら、デマンド・力率・変圧器の損失まで含めて見る必要があります。まずは請求書と設備の現状から確認しましょう。

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