
「延長コードだらけになってきた」「模様替えしたら家具の裏にコンセントが隠れた」「テレワーク用の机まわりで足りない」。コンセント増設のご相談は、だいたいこのあたりから始まります。
工事そのものは電気工事のなかでは小規模な部類ですが、費用は8,000円ほどで済むこともあれば、7万円を超えることもあります。この差は「壁の中をどう通すか」と「分電盤から新しい回路を引くかどうか」で決まります。
この記事では、増設方法ごとの費用の目安、工事の流れ、そして自分でやっていい範囲と法律の線引きを整理します。
- 増設の方法は大きく3つ。既存回路からの分岐/専用回路の新設/屋外・特殊用途
- 費用の目安は分岐で8,000〜18,000円、専用回路の新設で15,000〜40,000円、屋外で15,000〜70,000円ほど
- 消費電力の大きい機器は専用回路が原則。分岐で増やすとブレーカーが落ちやすくなる
- コンセントの増設・交換は電気工事士の資格が必要。無資格での作業は3月以下の拘禁刑または3万円以下の罰金
- 分電盤に空き回路がないと、分電盤の交換が先に必要になることがある
コンセント増設の3つの方法
1. 既存回路からの分岐
いま使っているコンセントの回路から配線を分けて、近くに新しいコンセントを設ける方法です。工事量が少なく、いちばん安く済みます。
ただし回路の容量は増えません。住宅の分岐回路は20アンペア(100Vで約2,000W)が一般的なので、そこにぶら下がる機器が増えれば、その回路の安全ブレーカーが落ちやすくなります。スマホの充電やスタンドライトのような軽い負荷を増やすには向いていますが、電子レンジや暖房器具を足すのには向きません。
2. 専用回路の新設
分電盤から新しい配線を引いて、そのコンセント専用の回路をつくる方法です。ブレーカーも1つ増えます。
電子レンジ、IHクッキングヒーター、エアコン、食器洗い乾燥機、洗濯乾燥機、EV充電。このあたりは専用回路が原則です。工事費は上がりますが、ブレーカーが落ちるトラブルの根本的な解決になります。
3. 屋外・特殊用途
外壁に防水コンセントを付ける、カーポートまで配線を延ばす、庭に電源を設ける。屋外は防水処理と配線ルートの確保が必要で、費用の幅がいちばん大きくなります。
費用の目安と、金額が変わる理由
| 工事内容 | 目安 | 条件 |
|---|---|---|
| 既存回路からの分岐 | 8,000〜18,000円程度 | 同じ部屋・近距離。壁内に配線を通せる場合 |
| 専用回路の新設 | 15,000〜40,000円程度 | 分電盤に空きがあり、配線ルートが確保できる場合 |
| 屋外コンセントの新設 | 15,000〜70,000円程度 | 防水処理、外壁貫通、配線距離により大きく変動 |
| 100Vから200Vへの変更 | 5,000〜15,000円程度 | 既存配線が200Vに対応している場合 |
| EV充電用コンセント | 30,000〜100,000円程度 | 200V専用回路+屋外設置。距離により変動 |
あくまで一般的な相場です。実際の金額は現地の条件で変わるため、必ず現地調査に基づく見積りをご確認ください。
金額が上がる主な要因
- 配線距離:分電盤からの距離が長いほどケーブル代と手間が増える
- 隠ぺい配線か露出配線か:壁内・天井裏を通す隠ぺい配線は仕上がりがきれいな一方、手間がかかる。モールで露出配線にすると安く早い
- 天井裏・床下に入れるか:点検口がない、断熱材が詰まっているなど、通せないと迂回が必要になる
- 分電盤の空き:空き回路がなければ、分電盤の交換や増設が先に必要(分電盤の交換を参照)
- 壁の材質:石膏ボードとコンクリートでは作業がまったく違う。RC造は配管ルートの制約も大きい
- 2階以上への配線:階をまたぐ配線は経路の確保が難しくなる
工事の流れと所要時間
- 現地調査:設置したい位置、分電盤の空き状況、配線ルート、壁の構造を確認します
- 見積り:工事内容と金額を提示。分電盤の交換が必要かどうかもここで分かります
- 工事日の調整:作業中は一時的に電気を止めることがあるため、都合のいい時間帯を決めます
- 施工:養生 → 配線ルートの確保 → 配線 → 器具の取付 → 結線
- 試験・確認:絶縁抵抗の測定、極性の確認、通電確認
- 片付け・引渡し
1か所の増設なら、現地調査を除いておおむね1〜3時間。専用回路の新設や屋外配線が絡むと半日程度みておくと安心です。分電盤の交換が同時に必要なら、停電時間を含めて数時間かかります。
DIYでどこまでできるのか|電気工事士法の線引き
ホームセンターにコンセントの部材が売っているので、自分でできそうに見えます。ただ、コンセントの増設も交換も電気工事士の資格が必要です。
電気工事士法第3条第2項は、第一種または第二種電気工事士でなければ一般用電気工作物等に係る電気工事の作業に従事してはならないと定めています。これに違反した場合、同法第14条により3月以下の拘禁刑または3万円以下の罰金。
資格がなくてもできる「軽微な工事」
電気工事士法施行令第1条で、次のものは電気工事から除外されています。
- 電圧600V以下で使用する差込み接続器、ソケット、ローゼットなどの接続器や、ナイフスイッチ、スナップスイッチなどの開閉器に、コードまたはキャブタイヤケーブルを接続する工事
- 電圧600V以下で使用する電気機器(配線器具を除く)や蓄電池の端子に電線をねじ止めする工事
- 電圧600V以下で使用する電力量計、電流制限器、ヒューズを取り付け、取り外す工事
- 電鈴、インターホン、火災感知器などに使用する小型変圧器(二次電圧36V以下)の二次側の配線工事
- 電線を支持する柱や腕木などの工作物を設置、変更する工事
- 地中電線用の暗渠または管を設置、変更する工事
読んでのとおり、壁の中の配線や、コンセント本体の交換・増設はここに含まれていません。延長コードを使う、テーブルタップを差す、といった範囲を超えるなら、資格を持った業者に依頼してください。
これは形式的なルールというより、実害の話です。結線が緩いとそこが発熱し、内装材の中で燻ります。壁の中で起きるので、気づいたときには手遅れになります。
場所別の注意点
キッチン
いちばん専用回路が必要になる場所です。電子レンジ、電気ケトル、炊飯器、食洗機、トースター。同時に使う可能性が高いので、既存回路からの分岐では容量が足りません。カウンター上の高さや、水がかかりにくい位置も一緒に検討します。
洗面所・浴室まわり
湿気が多く、水がかかる可能性がある場所です。防水・防湿仕様の器具を使い、漏電遮断器で保護された回路につなぐのが基本になります。ドライヤーや電気シェーバーの位置も考えて配置します。
屋外
防水コンセントを使うのは当然として、配線が外壁を貫通する部分の処理が肝心です。ここが雑だと、そこから雨水が入って漏電の原因になります。高圧洗浄機や電動工具を使うなら、容量にも余裕をみておきます。
テレビ・デスクまわり
コンセントの数だけでなく、位置と高さが使い勝手を決めます。家具の背面に隠れてプラグが差せない、という失敗が意外に多いところです。将来の模様替えも考えて、少し多めに設けておくと後が楽になります。
エアコン用
エアコンは専用回路が原則で、機種によって100Vか200Vか、必要なアンペア数も変わります。買い替え時に「コンセントの形が合わない」と言われるのは、この違いによるものです。
200Vコンセントが必要なケース
大型エアコン、IHクッキングヒーター、電気温水器、EV充電、200V対応の電気工具。このあたりは200Vが必要になります。
住宅の多くは分電盤に単相三線式で電気が来ているので、分電盤側の配線を変えれば200Vを取り出せます。既存の配線が200Vに対応していれば、比較的軽い工事で済みます。ただし単相二線式で引き込まれている古い住宅では、引込線からの工事になり、規模が変わります。
EV充電用の200Vコンセントについては、EV充電器の設置の記事で詳しく整理しています。
賃貸・テナントの場合
賃貸住宅では、原則として貸主の許可が必要です。壁に穴を開ける工事になるため、原状回復の扱いも含めて事前に確認してください。管理会社が指定の業者を持っていることもあります。
店舗・オフィスのテナント工事では、さらに建物側の制約が加わります。ビル全体の受電容量、テナントに割り当てられた契約容量、共用部を通る配線の可否、工事可能な時間帯。この確認を飛ばして計画を進めると、着工直前に組み直しになります。
出店・改装で電気工事が必要な場合の考え方は、店舗の電気工事、依頼前に確認したい3つのポイントにまとめています。
コンセントを増やしたいというご相談をいただいたとき、まず分電盤を見せていただきます。空き回路があるかどうかで、話がまるで変わるからです。
空きがなければ、既存回路から分岐するか、分電盤を交換するかの二択になります。分岐で済ませてしまうと、あとでブレーカーが落ちるようになって「結局また来てもらうことになった」となりがちです。
それと、次に工事する業者さんのことも考えて配線しています。将来エアコンを増やすかもしれない、太陽光を載せるかもしれない。そのときに触りやすい形で残しておくと、次の工事が早く安く済みます。
増やす前に分電盤を見ておくと、無駄が減ります
コンセント増設は「1か所だけ」で終わらないことが多い工事です。1か所増やすと、その隣も、あの部屋も、と出てきます。最初に家全体の電気の使い方を一度整理しておくと、無駄が少なくなります。
現地調査では、増設したい場所だけでなく、分電盤の空き、契約容量、既存回路の割り振りも見ています。そのうえで「ここは分岐で十分、ここは専用回路にしましょう」とご提案しています。
Frawは仙台を拠点に、宮城県全域と東北近郊で住宅・店舗の電気工事に対応しています。第一種電気工事士として低圧から高圧まで施工可能。繁忙期を除けば現地調査はすぐに伺えます。住宅の電気工事について詳しく見る。
よくある質問
コンセントの増設は自分でできますか?
できません。コンセントの増設・交換は電気工事士法第3条により電気工事士でなければ従事できない作業です。違反した場合は同法第14条により3月以下の拘禁刑または3万円以下の罰金と定められています。資格が不要な「軽微な工事」は電気工事士法施行令第1条に列挙されていますが、壁内の配線やコンセント本体の取付けは含まれていません。
コンセント増設にかかる時間はどのくらいですか?
1か所の増設なら、現地調査を除いておおむね1〜3時間です。専用回路の新設や屋外配線が絡むと半日程度みておくと安心です。分電盤の交換が同時に必要な場合は、停電時間を含めて数時間かかります。
電子レンジ用に増設したいのですが、既存のコンセントから分岐できますか?
おすすめしません。分岐しても回路の容量は増えないため、同じ回路の機器と同時に使うとブレーカーが落ちやすくなります。電子レンジ、IH、エアコン、食洗機など消費電力の大きい機器は分電盤から専用回路を引くのが本来の形です。
賃貸住宅でもコンセントを増設できますか?
原則として貸主の許可が必要です。壁に穴を開ける工事になるため、原状回復の扱いも含めて事前に確認してください。管理会社が指定の業者を持っていることもあります。
分電盤に空きがないと言われました。どうなりますか?
専用回路を増やすには、分電盤の交換または増設が必要になります。空き回路のない分電盤は設置から年数が経っていることも多いため、更新推奨時期(製造後およそ13年)を過ぎていれば、この機会に交換するほうが結果的に無駄がありません。
EV充電用のコンセントも増設できますか?
できます。200Vの専用回路を分電盤から引く工事になり、費用の目安は3万〜10万円程度。屋外設置になるため防水処理と配線ルートの確保が必要で、分電盤から駐車位置までの距離で金額が変わります。
まとめ
コンセント増設の費用は、既存回路からの分岐なら8,000〜18,000円ほど、専用回路の新設なら15,000〜40,000円ほど。屋外は条件によって7万円近くになることもあります。金額を左右するのは、配線距離と、壁の中を通せるかどうかです。
大事なのは「安く済ませる」より「必要な容量を確保する」ことです。消費電力の大きい機器を分岐でつなぐと、ブレーカーが落ちるようになり、結局もう一度工事することになります。
増設したい場所が決まっていなくてもかまいません。分電盤と、いま困っている状況を見せていただければ、必要な工事をご提案します。
- 電気工事士法(e-Gov法令検索)
- 電気工事士法施行令(e-Gov法令検索)
- 住宅分電盤に関するQ&A(Panasonic/日本電機工業会「住宅用分電盤用遮断器の更新推奨時期に関する調査報告書」平成8年3月)
掲載した費用は一般的な相場の目安です。実際の金額は建物の構造・配線ルート・作業条件によって変わります。正確な費用は現地調査に基づくお見積りをご確認ください。